要求管理 MCP サーバー

AIコーディングで要求管理ツールを作った実験記録

2024年10月26日 · Tags: AI開発, Miyabi, 実験記録, モックアップ

はじめに:なぜこの実験を行ったのか

「AIコーディングは本当に実用的なのか?」「AIエージェントによる自動開発はどこまで可能なのか?」

これらの問いに答えるため、実際にAIコーディングツールを使って要求管理MCPサーバーのモックアップを構築する実験を行いました。本記事では、その過程で得られた知見を簡単に紹介します。


🧭 実験の目的

主目的

AIによるソフトウェアの自動開発の実力と限界を把握する。

副目的


⚙️ 実験環境と実施内容

使用ツール

ツール 役割
Claudeコード API駆動のコード自動生成ツール
Miyabi npx miyabiで起動、Claudeコードの上に動作するフレームワーク
VS Code 実行・開発環境

作成した成果物

要求管理MCPサーバー(モックアップ)

AIとの対話により、要求をツリー構造で自動生成・管理する仕組み。

動作概要

  1. 人間がチャットで要求を説明
  2. AIが解析して要求構造(ツリー)を生成
  3. MCPサーバーがデータを保持し、AIがそれを読み書き・分析可能にする

利用構成

ローカル上のVS CodeでClaudeコードをベースにMiyabiを追加実行。サーバー・クライアント構成を模擬。


💡 得られた知見

1. AIコーディングの有用性

モックアップ構築においては非常に高効率。

例えば、「A製品の要求を作成してください。ステークホルダは製品利用者です」と伝えると、MCPサーバにその機能がなかったら、ツールの機能拡張を提案し作成。ざっくりした説明からステークホルダ要求、システム要求の分解、上位と下位要求の整合性、粒度の調節などを自動的に実施でき、その依存関係を正確に表現している。

2. 費用対効果

API利用料は高く感じたが、開発工数を考えれば十分安価。

3. 開発体験の変化

「ツールを使う」から「ツールを育てる」へ。

従来の開発:

要件定義 → 設計 → 実装 → テスト → デプロイ

AI開発:

対話 → 生成 → 確認 → 修正 → 対話 → ...(継続的な進化)

この自動化環境はMiyabiによる成果が大きい

結論:ユーザーがAIエージェントを通してツールを進化させていく構造が明確に見えた。

4. 技術的示唆

トレーサビリティ(要求間関係)の自動化がAIで十分に実現可能。


⚠️ 課題と限界

1. コスト面

Claude APIの運用コストがばかにならない(開発コストは安く思える)

継続的な利用にはコスト最適化が必要。特に大規模プロジェクトでの運用には要検討。

2. データ永続化

現時点ではVS Codeローカル保存に留まる。

DB統合までは未実施。実運用には以下が必要:

3. 成熟度

まだモックアップレベル。

実運用に耐えるには以下の設計が必要:

4. AIとの責任分担

「どの程度頼ってよいか?」「人間は怠惰である」AI活用の運用設計は課題


🚀 今後の展望

1. 開発スタイルの変化

「AI-assisted agile development」の実例として有望。

2. ツールの方向性

「自己拡張型ツール」が主流化する可能性。

3. 要求管理MCPサーバーの進化

要求データをAIが継続的に解析・更新。


総括

AIコーディングは、開発の自動化というよりも「開発者とAIが共同で成長するプロセス」を担っている。

今回、要求管理という高難度領域でも、AIがツール生成と構造設計を人間のニーズをもとに開発し、人間が評価して、機能追加を行うことが可能になった

次のステップ

今後はモックアップレベルは変えずに機能をどんどん追加して、どこまで理想像を描けるか実験していく。

この実験は以下のGitHubリポジトリで継続中:


あなたも試してみませんか?

この実験は誰でも再現可能です。

必要なもの:

始め方:

  1. リポジトリをクローン
  2. npm install && npm run build
  3. npx miyabiで起動
  4. チャットで要求を入力

詳細はクイックスタートをご覧ください。


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